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籠の中の天使
第6章 狡い街



上位成績の人は指定校推薦が取れる。

南斗が私の成績に煩いのはその為だ。

一般入試は私の身体に負担が大きく、受験料などのお金も凄くかかるから指定校推薦で大学を決めてしまえと言われてる。

未だに何の為に大学に行くべきか答えが見えてない。

向井さん達が2人で同じ大学を目指してるとか聞くと羨ましいとか思うだけ…。

私はどうすればいいのだろう?


「俺、保健医の資格だけは取りたいんだ。」


峯岸君が将来の夢を語り出す。


「モッチーみたいに保健医になるの?」

「親はさ、教員免許だけ取っておけって言うけど、俺は絶対に教師とかむいてないから保健医の資格を狙ってる。」

「なら養護教諭資格が取れる学部?」

「そうなると、結構、大学が限られる?」


皆んなが将来の道を話す間、将来が見えない私はぼんやりと窓の外を見るだけになる。

外はずっと雨で窓の向こうには歪んでボヤけた景色しか見えない。

まるで私の未来みたい…。

憂鬱な気分なまま、教室を出た。

保健室での南斗は相変わらず私に背を向ける。


「最近は、学校生活に慣れて来たんだから保健室に来なくても普通の時間に帰れるだろ?」


私を突き放す言葉を投げ掛ける。


「南斗と帰りたい…。」

「仕事が終わるまで待ってろ。」


試験中とはいえ学生みたいに午前中では帰れない南斗を待つ。

近頃の南斗は私に触れようとしない。

ベッドに入っても、疲れてるのか普通に寝ちゃう。


もしかして私に興味が失くなった?


恋人じゃない男の気持ちに憂鬱な気分が更に憂鬱になる。


「帰るべ?」

「まだ帰りたくない。」

「ドライブスルーでハンバーガーでも買ってやるから、家で食え。」


テスト中だから私は自分の家に帰される。


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