この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第7章 知られたくない
バスを降りた目の前は札幌ドームがある。
団体用入り口から学生がゾロゾロと中に入る。
ドームから出てはいけない条件付きだから、野球が終わる9時まで閉じ込められてる気分になる。
「潤、先に行ってる。」
始球式があるからと茂君が向井さんを連れて走り出す。
「待ってよ…。」
杉山さんと上地さんも向井さんを追い掛ける。
一瞬、上地さんが私の方へ振り返った気がしたけど、峯岸君が
「俺らは、のんびりと売店でも見に行こう。」
と言って私の手を引き観客席とは反対側に向かって歩き出す。
観客席は一応、学校側で学生の人数分は押さえてるらしい。
「野球…、観なくていいの?」
峯岸君に聞くと
「茂が出てる試合くらいしか観ない。」
と言って笑う。
売店の周りは既にうちの学校の学生が押し寄せててあちらこちらのお店に行列が出来てる。
「委員長ーっ!ねえ、委員長ってば…、こっちこっち…。」
売店の周りにたむろしてる学生の中から達也君がブンブンと手を振って峯岸君を呼ぶ。
「達也…、何やってんの?」
「奈穂(なほ)ちゃんがピザ食べたいって言うから並んでんの。」
奈穂ちゃんとは杉山さん達とは違うもう一つの女の子のグループの子の名前だ。
私の事を箱入りのお嬢様だとか言う岡村 萌衣(めい)さんと仲良しでいつも2人でくっ付いてるイメージの女の子…。
「達也…、まだ?」
私の後ろからキツい声がする。
峯岸君と振り返れば、岡村さんに腕組みをして寄り添ってる奈穂ちゃんが居る。
「委員長じゃん。しかもお嬢様を連れてるし…。」
岡村さんが私を馬鹿にしたように言う。