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きっかけは十人十色
第28章 繋いだ手
ピシッと高めの音が弾ける。
「いっ……」
櫂が眉を寄せて顔を歪ませた。
「……イヤだった」
「え?」
器用に片眉を上げて、櫂が耳を傾ける。
「腹立つくらい綺麗な人だし、変にプロポーションいいし。私も櫂のこといろいろ知ってるのよ、みたいな顔してるし」
言いながら、だんだんと唇が尖ってくるのが分かった。
「どれくらい付き合ってたかなんて知らないし、……知りたくないけど。たぶんそれよりは短いだろうけど、それでも櫂のこと想ってる気持ちは私の方がずっと大きいのに」
「まんまと感情のままに振る舞った自分が悔しくて、イヤだった」
「櫂の前では笑ってたいのに」
視界を霞ませる、浮かんだ雫を指先でサッと拭い取る。
すると、私が話すのを黙って聞いてくれていた櫂が、ポツリと口を開いた。
「俺は詩乃の笑った顔可愛いし、すごく綺麗だなって思うよ。でも、どんな表情も可愛いし、俺の前で笑顔でいたいって思ってくれるなら、もちろん嬉しい。その気持ちごと引っくるめて隣にいたい。だから……」
「いっ……」
櫂が眉を寄せて顔を歪ませた。
「……イヤだった」
「え?」
器用に片眉を上げて、櫂が耳を傾ける。
「腹立つくらい綺麗な人だし、変にプロポーションいいし。私も櫂のこといろいろ知ってるのよ、みたいな顔してるし」
言いながら、だんだんと唇が尖ってくるのが分かった。
「どれくらい付き合ってたかなんて知らないし、……知りたくないけど。たぶんそれよりは短いだろうけど、それでも櫂のこと想ってる気持ちは私の方がずっと大きいのに」
「まんまと感情のままに振る舞った自分が悔しくて、イヤだった」
「櫂の前では笑ってたいのに」
視界を霞ませる、浮かんだ雫を指先でサッと拭い取る。
すると、私が話すのを黙って聞いてくれていた櫂が、ポツリと口を開いた。
「俺は詩乃の笑った顔可愛いし、すごく綺麗だなって思うよ。でも、どんな表情も可愛いし、俺の前で笑顔でいたいって思ってくれるなら、もちろん嬉しい。その気持ちごと引っくるめて隣にいたい。だから……」