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きっかけは十人十色
第28章 繋いだ手
預けていた身体をパッと起こして、瞬きをして櫂の顔を見つめた。
「初めて会った時は提案だったから。……別に冗談で言ったんじゃないけど。どっちも俺の正直な気持ち」
「……会いたくなったら会いたいって言っていい?」
「うん」
「ワガママ言っても嫌にならない?」
「むしろ大歓迎」
「私でいいの?」
「詩乃がいいの」
「……ぎゅってして欲しい」
「おいで」
鼓膜を震わせる低音が気持ちを揺らめかせて、ふわふわと浮上させる。
櫂の腕の中に閉じ込められれば、きゅっと締めつける力は温かくて甘い雰囲気へとすぐに変わった。
目を閉じて浸っていると、切なげに私の名前を呼ぶ声が届いた。
「詩、乃」
未だに目を閉じているから、表情は分からない。
「そろそろヤバいかも」
(あ……)
「どうしたの?」と言おうとして、お腹の下に触れた櫂の硬さに状況を察した。
「初めて会った時は提案だったから。……別に冗談で言ったんじゃないけど。どっちも俺の正直な気持ち」
「……会いたくなったら会いたいって言っていい?」
「うん」
「ワガママ言っても嫌にならない?」
「むしろ大歓迎」
「私でいいの?」
「詩乃がいいの」
「……ぎゅってして欲しい」
「おいで」
鼓膜を震わせる低音が気持ちを揺らめかせて、ふわふわと浮上させる。
櫂の腕の中に閉じ込められれば、きゅっと締めつける力は温かくて甘い雰囲気へとすぐに変わった。
目を閉じて浸っていると、切なげに私の名前を呼ぶ声が届いた。
「詩、乃」
未だに目を閉じているから、表情は分からない。
「そろそろヤバいかも」
(あ……)
「どうしたの?」と言おうとして、お腹の下に触れた櫂の硬さに状況を察した。