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きっかけは十人十色
第8章 帰り道
言われてみれば、たしかにそうだ。
母さんに電話でさらっと言われただけだった。
木山さんは再び歩き出して、スッと通る声で言った。
「詩乃って言います」
「えーと、…お琴の“琴”?」
「ううん、詩歌の“詩”に、“乃ち”。古風でしょ?」
「いや、そんなことないと思うけど」
「そう言って貰って良かった。気に入ってるの」
弾んだ声で木山さんは言った。
「ねぇ、柴崎さんのこと、櫂って呼んでいい?」
「え、あ、はい。もちろん」
文字を思い浮かべて空中に名前を書いていて、返しがおかしくなってしまった。
「良かった。名字呼びだと長いから。それに、他人感あるもの」
俺も、下の名前で呼びたいんだけど、な。片方が名前で呼んで、もう片方は名字で呼び合うのってバランス悪くないか?まぁ、慣れてからでいいか。
「後もう1つ聞きたいことがあって」
「うん?」
「その…」
不意に様子が変わり、聞きたいと言いながら言いづらそうにしている。
母さんに電話でさらっと言われただけだった。
木山さんは再び歩き出して、スッと通る声で言った。
「詩乃って言います」
「えーと、…お琴の“琴”?」
「ううん、詩歌の“詩”に、“乃ち”。古風でしょ?」
「いや、そんなことないと思うけど」
「そう言って貰って良かった。気に入ってるの」
弾んだ声で木山さんは言った。
「ねぇ、柴崎さんのこと、櫂って呼んでいい?」
「え、あ、はい。もちろん」
文字を思い浮かべて空中に名前を書いていて、返しがおかしくなってしまった。
「良かった。名字呼びだと長いから。それに、他人感あるもの」
俺も、下の名前で呼びたいんだけど、な。片方が名前で呼んで、もう片方は名字で呼び合うのってバランス悪くないか?まぁ、慣れてからでいいか。
「後もう1つ聞きたいことがあって」
「うん?」
「その…」
不意に様子が変わり、聞きたいと言いながら言いづらそうにしている。