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恍惚なる治療[改訂版]
第16章 仄暗い空間の中で
「はい、1ヶ月よく頑張りましたね。骨は完全にくっ付いてますよ」
「ありがとうございました」
ようやく骨折も完治し、病院でギプスを外してもらった。
心なしか、右腕が痩せかけたように見える…
「佐伯さん」
受付に向かおうとすると、背後から柳川さんの声が聞こえて振り返った。
「柳川さん、どうしたんですか?今患者さんは?」
「今は空き時間なので、佐伯さんの様子を伺いに来ました。完治したんですね」
「はい、柳川さんにサポートしてもらったお陰です。ありがとうございました」
骨折が完治するまで柳川さんには家事をしてサポートもらい、不便に感じず生活出来た。
感謝してもしたり無い程で…
「治ったという事は僕はお役御免ですね。少し寂しいですね…」
「そんな事ないですよ。また近いうちに会いましょうよ」
「そういう事じゃないんですけどね…あっ、そろそろ戻らないと…また連絡します」
柳川さんは足早にその場を後にした。
彼の後ろ姿を眺めながら、俺は柳川さんに何かお礼が出来ないか考えていた。