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恍惚なる治療[改訂版]
第16章 仄暗い空間の中で

後ろ側の客席なので、肩を寄せ合って小声で話し合う姿を振り返って見る人は居ない。

「これは海外の映画ですけど、そういうのが無かったんですね」
「はい、全体的に凄く凝ってて、観ていて楽しかったです。柳川さんにも楽しんでもらえたら…」
「この映画、僕も面白そうだと思ってたので、佐伯さんに誘っていただいて楽しみにしてました」

徐々に館内が暗くなり、近日公開の映画予告が映し出される。

「佐伯さんはこれくらいの暗闇は耐えられますか?」
「はい、いけます」
「そうですか、そろそろ始まるみたいですね…」

壁際にほんのりと明かりが灯る程の暗闇の中、本編が始まった。

物語は20世紀初頭のドイツを舞台にしており、探偵の男が知り合いの刑事から殺人事件の解決の依頼を受けるところから大事件に巻き込まれていく。

この作品はミステリー物で推察シーン等が豊富にあるが、アクションシーンも見所の1つになっている。
探偵なのにここまでするか、と思う程に激しく動く主役に目を奪われる。

やはり結末を知っていても、面白い映画は何度でも観たくなる…



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