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透明な炎
第5章 の
恋に落ちるのなんて一瞬だ―――
ううん。
自分が気がつかないだけでずっと好きだったのかもしれない。
数多い同期の中でも同じ海外に配属されて
ヤツの仕事ぶりは誰よりも見てきた。
お互いに仕事の愚痴を言い合って、それ以上に高めあって来た。
武藤の仕事ぶりをすごいと思って、つまった時は意見を聞いて私を引き上げてくれた。
奥さんがいるからと、封じ込めてきた思いはずっと恋だったのか・・・
自分自身の隠してきた気持ちに嘘がつけなくて
恋だと自覚したその瞬間に
手をつないでいる男の奥さんに嫉妬して、自分に嫌気がさす。
この恋心は、悟られちゃいけないし
絶対に表に出しちゃいけない。
「帰れる」
出来る限りハッキリと言ったつもりだけど
少しだけ前を歩く武藤が聞き取れたのか分からない。
けど、ゆっくりと振り向いて私を見つめる。
このオトコは私の言葉を拾うのが上手くて
私は自分の心さえ見抜かれるんじゃないかと目をそらした。
そんな私に
「俺がお前を一人に出来ないんだけど」
優しくて、残酷な言葉を私に投げかけた―――
ううん。
自分が気がつかないだけでずっと好きだったのかもしれない。
数多い同期の中でも同じ海外に配属されて
ヤツの仕事ぶりは誰よりも見てきた。
お互いに仕事の愚痴を言い合って、それ以上に高めあって来た。
武藤の仕事ぶりをすごいと思って、つまった時は意見を聞いて私を引き上げてくれた。
奥さんがいるからと、封じ込めてきた思いはずっと恋だったのか・・・
自分自身の隠してきた気持ちに嘘がつけなくて
恋だと自覚したその瞬間に
手をつないでいる男の奥さんに嫉妬して、自分に嫌気がさす。
この恋心は、悟られちゃいけないし
絶対に表に出しちゃいけない。
「帰れる」
出来る限りハッキリと言ったつもりだけど
少しだけ前を歩く武藤が聞き取れたのか分からない。
けど、ゆっくりと振り向いて私を見つめる。
このオトコは私の言葉を拾うのが上手くて
私は自分の心さえ見抜かれるんじゃないかと目をそらした。
そんな私に
「俺がお前を一人に出来ないんだけど」
優しくて、残酷な言葉を私に投げかけた―――