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透明な炎
第1章 透
「武藤は良いよね」
「なんで?」
予約してくれた店でひとしきり仕事の愚痴を言って
それでもこの仕事が好きで。
こんなにやりがいのある仕事はほかの会社じゃできない。
ちゃんと分かってるけど
どう考えても忙しい。
「プライベートが充実してて」
『結婚してて』なんて言わない。
私が結婚できない女だと思われたくないから。
結婚願望が強いのか薄いのかさえよく分からなくなってきた。
「自分で充実させンだよ。安西は休日何やってんの?」
・・・・寝てる
って言ったら笑われんだろうな。
良いよね。
休日だろうと朝起きたら朝ごはんが出て来てさ。
奥さんに「シャワー浴びてスッキリしたら買い物にでも行くか」
とか言っちゃうわけ?
「え?ほんと?昨日銀座で欲しい服があったんだけど・・・」
「知ってる。銀座で友達とランチしたんだろ?昨日の夜言ってたじゃん」
「買っていいの?」
「いつも家事をやってくれてるから。本当に感謝してんだよ」
「え~。私も!私も感謝してる!」
とか、土曜の朝に会話してんのかな?