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Honeymoon
第10章 いくつかの誤解
部屋の中に嘘の様な静寂が訪れて遥さんがこちらに目を向ける。

「巻き込んじまったな、こんなつもり無かった」

「遥さんは、最初から……?」

もしかして、このつもりで?
ベッドサイドに肘をついたまま遥さんがぽつりぽつりと話し始める。

「いや、あのバーで忠告だけするつもりだった。 工藤の婚約の話聞いて見に行って、そしたら案外普通の女で。 もしかして旭もそういう趣味かとも思って、カマかけてもみたけど。 違うのは最初に気付いた」

こうなったのは知っての通り想定外だけど、遥さんは決まりが悪そうに笑った。

「和泉さんを本当に嫌ってる訳じゃないんですね」

私の言葉に一瞬目を上げ、考える様に少し空に彷徨わせる。

「兄貴だからな、一応。 出来るなら止めたかった。 それに……」

「…………?」

「俺も人の事はそんなに言えないって言っただろ? ただ加減は分かってるだけで。 同族嫌悪ってのか、逆に奴が居なかったら俺がああなってたかと考えた事もある。 …だから俺たちみたいのに旭は狙われたのかも知んねえな」

彼が自嘲気味に少し目を落とした。



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