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恋 と 愛 と 思い出 と
第1章 1st 美月と朝陽
「…っ!!!ちょっ、ーーー!」
一瞬だった。
すごい力で腕を引かれ、気づいたら朝陽の腕の中にいた。
懐かしい香水の香りと、温もり。
抱きしめる腕の強さ。鼓動がダイレクトに耳に届く。
でもこれは、悟じゃない。
「は、はなし…っ!」
視界の端に映る、悟との写真。パンフレット。
頭によぎる、彼の優しい声。
思い切り腕に力を入れて突っ張るも、びくともしない強さに、どんどん冷静じゃなくなるわたしの心。
「…っ、やだ!ーーーさとるっ!!」
「ここは俺の名前呼ぼうよ…」
気の抜けたような声とは裏腹に、力は強まる。
「呼んでよ、俺、さとるじゃない。」
焦ったような、朝陽の声。
「はなしてよ!やだ!…さとる!さとる!!っさ、…!!!!」
呼ぶ声は、消される。ーー朝陽の唇で。