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恋 と 愛 と 思い出 と
第1章 1st 美月と朝陽
「ーーーーうん、じゃあ、また明日ね。」
美月は電話を切った。
金木犀の香りを胸いっぱい吸い込んで、夜の街を歩き出す。
電話の相手は、悟。
2年付き合って、明日は式場の下見。
正式なプロポーズはないけれど、
なんとなく、このまま結婚するんだろうなと思っている。
穏やかで、優しくて、どこまでもわたしを大切にしてくれる。
ーーーいまの方が、断然しあわせ。
別れて5年も経っているのに、まだ思い出す。
比べてしまう。
腹立たしい。歩みが自然と速くなる。
どうして出ていってくれないんだろう。
ずっと自分の中に存在し続ける、アイツ。
5年だよ、5年!片手で数えられる分終わったじゃん!
何度自分にそう問いかけたか分からない。
…腹立たしい。