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恋 と 愛 と 思い出 と
第1章 1st 美月と朝陽
声は、目の前から聞こえた。
ずっと忘れられなかった声。
聴こえるはずのない、聞きたかった、声。
「久しぶり、美月。」
「ーー嘘、でしょ。朝陽。…な、んで…。」
見上げた先には、懐かしい顔。
中性的で、綺麗で、相変わらず、綺麗な顔。
もう会うことのないと思っていた男が、そこにいた。
ーーーカシャン。
思わず落としたケータイ。拾うこともできない衝撃。
朝陽がスッとしゃがむと、あの頃と変わらない香水の匂いが漂ってくる。
「はい。落としたよ?…大丈夫?」
朝陽の視線が、自分に向いている。
朝陽の声が、自分に向けられている。
朝日の手が、自分に差し出されている。
…正確にはケータイを渡してるんだけど。
頭の中で状況を整理するように言葉が並んでいく。
ーーだめだ、全然冷静じゃない。