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教えて、あなたのキモチ
第2章 商談のお供
あまり休んだ気のしない週末は、あっという間に過ぎてしまう。
月曜のお昼休み。化粧室で崩れかけたメイクを直し、フロアに戻ろうと廊下を歩いていると、談笑をしていた匠海くんに呼び止められた。
「あ、唯衣ちゃん、山崎部長が呼んでたよ。すぐ来て欲しいって」
「分かった。ありがとう」
手短にお礼を言ってから、化粧ポーチをデスクに戻すと、すぐに部長の元へ向かった。
「お呼びでしょうか」
「あぁ、池澤くん。急で悪いんだが…」
と指を組んで間を置く部長。
本能的に悪い予感がした。
でもミスをした記憶もない。
頼まれごとは“第二資料室へ行って一昨年の年度末の資料を持ってきてほしい”だった。
別に勿体ぶって話す内容でもないだろうに。
資料室へ入ると先客がいた。
ピシッと折り目のついた濃いグレー色のストライプスーツにシルバーフレームの眼鏡。この生真面目な顔立ちは―営業課の眞鍋航生さん。
受付嬢時代に幾度となく来客を取り次いだ覚えがある。
月曜のお昼休み。化粧室で崩れかけたメイクを直し、フロアに戻ろうと廊下を歩いていると、談笑をしていた匠海くんに呼び止められた。
「あ、唯衣ちゃん、山崎部長が呼んでたよ。すぐ来て欲しいって」
「分かった。ありがとう」
手短にお礼を言ってから、化粧ポーチをデスクに戻すと、すぐに部長の元へ向かった。
「お呼びでしょうか」
「あぁ、池澤くん。急で悪いんだが…」
と指を組んで間を置く部長。
本能的に悪い予感がした。
でもミスをした記憶もない。
頼まれごとは“第二資料室へ行って一昨年の年度末の資料を持ってきてほしい”だった。
別に勿体ぶって話す内容でもないだろうに。
資料室へ入ると先客がいた。
ピシッと折り目のついた濃いグレー色のストライプスーツにシルバーフレームの眼鏡。この生真面目な顔立ちは―営業課の眞鍋航生さん。
受付嬢時代に幾度となく来客を取り次いだ覚えがある。