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教えて、あなたのキモチ
第2章 商談のお供
雑談を交わすほどの間柄ではないが、お互い顔見知りだ。
「お疲れ様です」
棚へと注がれていた視線が、チラリとこちらへ向けられた。
「…池澤さん」
「お久しぶりですね」
「あぁ」
簡単に言葉を交わすと、所狭しと並んだ棚から目を凝らして資料を探す。
(えーっと、一昨年の資料……あった)
よりによって棚の上の方、しかも積み重ねられた状態。
幸いにしてラベルは見えるようにこちら側を向いていた。
軽く踵を浮かせてみるものの、届かない。
爪先にぐっと力を込めて再度背伸びをすると、指先が微かにファイルの背表紙に触れた。
やっと届いた指先でファイルの角をつまんでそろそろと引っ張りだしていると、案の定、上に積まれた他の資料がバランスを崩し始めた。
あっと思った時には既に遅く、避けなきゃ、と頭で分かっているのに身体が動かない。
落ちてくる資料がやたらスローモーションに見えた。
「お疲れ様です」
棚へと注がれていた視線が、チラリとこちらへ向けられた。
「…池澤さん」
「お久しぶりですね」
「あぁ」
簡単に言葉を交わすと、所狭しと並んだ棚から目を凝らして資料を探す。
(えーっと、一昨年の資料……あった)
よりによって棚の上の方、しかも積み重ねられた状態。
幸いにしてラベルは見えるようにこちら側を向いていた。
軽く踵を浮かせてみるものの、届かない。
爪先にぐっと力を込めて再度背伸びをすると、指先が微かにファイルの背表紙に触れた。
やっと届いた指先でファイルの角をつまんでそろそろと引っ張りだしていると、案の定、上に積まれた他の資料がバランスを崩し始めた。
あっと思った時には既に遅く、避けなきゃ、と頭で分かっているのに身体が動かない。
落ちてくる資料がやたらスローモーションに見えた。