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第3章 思いがけぬ再会

伊豆での商談が終わってからは、普段と変わらない日常業務をこなしていた。
気づけば、最寄り駅から自宅への街路樹にはイルミネーションの明かりが灯っている。
（…あぁ、そっか。今月はクリスマスがあるんだっけ。ま、私には関係ないけど）
そう思いつつも幻想的な明かりに目を奪われてしまい、歩みを止めて街路樹を眺めていた。
（綺麗…）
ふと周囲を見回すと、やたらとカップルが多い。目を逸らすように向こう側の通りを見やると、スラッと背の高い人影が視界に入った。気づかれないうちにさりげなく視線を元に戻す。
少しした後、隣に人の立つ気配を感じ、そっと視線を向けた。
「なんだ、お前か」
なんともわざとらしい。きっと気づかれたのだろう。
「…そういや例のジャケット、まだ返しに来てないだろ。これから取りに行ってやってもいいけど？」
思い出されるのは、インターフォン越しの女の人の存在。彼女がいるのに他の女の家に上がろうとするのは如何なものだろうか。この前のは…まぁ…仕方ないけど。私が原因だし。