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ピエロ
第1章 プロローグ
 独特な男性のホルモン臭が鼻腔を突く。

 彼の股間にそびえ立つ臓器の様なその先端から、沸々と湧き出る透明な粘りを舌先で掬う。筋がぬたくった赤黒いそれが生き物のように小さく跳ねた。この先どの様にするべきなのか先輩女優のドロシーが話していた事を甦らせた。

 上目遣いに見える彼は、その行為をする彼女を笑みを浮かべて見つめていた。
 
 スティファニーは男の先端を含もうと試みた。
 
 うっ……。
 
「駄目……」
 
 スティファニーは震えながら小さくかぶりを振っていた。
 
「ご、ごめんなさい。ジョナサン・フランク、私……出来ません」
 
 ジョナサンは何も言わずスティファニーの前に立った。身体が震えていた。

 手首を取られジョナサン自身を握らされる。手のひらに別の生き物のような強い拍動を感じた。

「ほら、こうするんだ」

 熱を帯びたそこをゆっくりスライドさせられる。
 
 ああ……。
 
 整髪料と煙草の臭いが近づいた。固い唇が首筋に重なる。彼の片方の手はスティファニーの股間にあった。固く太い指先が彼女の股間を探っている。そこが傷口のように痛んだ。
 
 ジョナサンを包む彼女の手はスライドさせられている。そこに油を指したように粘りの音が広がった。
 
「チッ、」
 
 ジョナサンは小さく舌を打った。
 
「シケてんな。俺がこんなに可愛がってもちっとも濡れないなんて……」
 
 と、固い指にスティファニーの柔らかな部分が撫でられる。時折、その中心が押されると、まだ男性を知らないそこは開かれた傷口の様に痛んだ。
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