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blossom
第11章 Love10:そそる男
夏休み二日目の夜、母の病院から家に戻ったところで電話が鳴った。冴島さんからだった。

「もしもし…」
話しながら家の中に向かう。

「あの…お電話いただいたようなんですが…
さくらさん…ですか?」

「どうして?」

「やっぱり。そんな気がしてたんです。」

「ごめんなさい、お忙しいのに。」

「どうしましたか?」

「どうもしないんです、ただ…
ただ、声を聞きたくなって…」

「私もずっとあなたの声を聞きたかった。格好つけずに番号を聞いておけばよかったと何度後悔したか。」

「本当に?嬉しい。」

「早くあなたに会いたいです。会って、抱きしめて…味わいたい。」

「私もです。冴島さんに会いたいです。」

「何度もあの日のあなたを思い出してました」

「私もです。」


「今はご自宅ですか?」

「いえ、実家です。一人で帰ってきていて。」

「何かあったとかじゃ…」

「そうじゃなくて、夫に夏休みをもらったんです」

「いいですね。夏休みはいつまでですか?」

「明日には帰る予定です。」

「さくらさん…この前言ったことなんですが…
私としては正直半々です。ずっと独り占めしていたい気持ちと、蕩けているあなたを見てみたい気持ちと」

「私…興味あります」

「そうですか。…では近いうちに」

「こんな私でも、これからも会ってくれますか」

「それはこちらからお願いしたいくらいです」
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