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blossom
第14章 Love13:待つ男
立ち上がってバッグと傘を拾った。

泥だらけのカットソーはあちこち伸びて酷い有様だった。足の間から垂れ落ちる精子に誰かが気づくより先に、服の異常さに目がいくだろう。

警察…いや、やっぱり大事にはしたくない

公園のトイレへ入って鏡を見ると、服に着いた葉や枝を落とせば傘で隠せそうな気がしたので、おおまかにはたいて落とす。全身びしょ濡れの状態ではあったけれど、なんとか誰にも会わずに家へ辿り着けた。


安全な家の中に入り、鍵を閉めて靴を脱ごうとしたそのとき、鍵が開けられる音がした。
もう…どうしようもできなかった。


ドアを開けたのは夫。


「どうしたの?!ママ!」

(見られたっ…)
まず過ったのはそれだったけれど、でもホッとした。ずっと怖かったから。

「お…おそわれた…公園で…」
それだけ言うとまた涙が零れてしまった。夫は汚れた私の肩を抱き寄せてくれた。

「大丈夫?警察行こう!」

「それよりっ…病院…行きたい…」


夫の目が私の下半身を見た。

ダラダラと内ももを伝っているのが、強姦犯の精子だと気づいたのだろうか…

(佐野くんの子供を妊娠するなんて絶対嫌)


「分かった。一緒に行くよ。」
抱きあげようとする夫に支えられて立ち上がる。

「でも…このままじゃ……」

「ママ…警察、言わなくていいの?」

「………」

「知ってるやつなの?」

夫の声が怒りに震えている。肩を抱く手も心なしか震えているように感じる。怒ってくれているのだろう。


まだ私は愛されていた…
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