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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
♪~♪~
「はい、桂木です。」
娘の愛花(まなか)がいち早く反応して電話に出る。

「あ!おばあちゃん!…うん、分かった待って」

「ママー、おばあちゃん、代わってって」
夕食の支度をしていた手を止めて受話器を受け取ると、いつも陽気な母の元気がない。

「ぎっくり腰になっちゃってね、運ばれたのよ
悪いんだけど…病院に来てもらえる?」
「分かった。大丈夫なの?」
「しばらく入院することになったんだけど、
身一つで来ちゃったから…」

三年前に父が亡くなってからずっと一人暮らしをしていた母。さぞ心細かっただろう。

「どこの病院?」
「山根医院。とりあえず財布と着替えと…」

山根医院…高校時代の知り合いの実家だ…。
制服姿の彼の笑顔がフラッシュバックする。

「分かった。夜には届けられると思うから、病院の人にそう伝えてもらえる?」
「悪いね。まなちゃんとりっくんによろしくね。拓人さんにもね。」

「うん、伝えておく。とにかく安静にしてて。
もう6年生と4年生だもん、大丈夫よ。ね?」

下の子の陸人(りくと)に受話器を向けると、
「だいじょーぶー!!」
気弱になっている母にいい返事を届けてくれた。

夫の拓人にLINEを送ったがなかなか既読がつなかないまま、実家へ向かう準備を始めたけれど…
何泊できるのかは、夫次第だな。
ひとまず四日分の着替えを用意してキッチンに戻る。

冷蔵庫に残っていたもので、私のいない間食べて貰えそうなものを作っていると夫が帰宅した。
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