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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
「LINE送っ…」
「パパ、大変!おばあちゃん、ぎっくり腰になっちゃったんだよ!!」
私が話しかけるのを遮るように陸人が主人に事の次第をまくし立てた。

仕事の都合がつけやすい時期だったようで、一週間はなんとかできそうとのことだった。
愛花も朝食のパンとサラダ、目玉焼きくらいはできると頼もしい言葉をくれた。

実家までは車で三時間。戻ってこようと思えばいつでも戻れる。とりあえず一週間、母のそばにいるつもりででかける。


一人きりの車の中は静かすぎて、ラジオを流した。
〘20年前、懐かしのベストヒットはこの曲~〙
確かに高校時代によく聞いていた曲だった。

(山根くん…卒業以来会ってないけど、今はどんな風になってるんだろう…)

二年くらい付き合って別れてしまった、私のハジメテの人。ルームミラーに映った今の自分が、高校時代の甘酸っぱい記憶から一気に現実へと引き戻す。

(せめて、お化粧くらい直してから行こう…)


実家について母の荷物をまとめ、病院へと向かった。守衛さんに言われた通り、1階の真っ暗な外来窓口を横目に、エレベーターに乗り込む。
ドアが開くとナースステーションに声をかける。

「遅くにすみません、今日の午後から入院している宮野の娘です。」

テキパキとした看護師さんに説明をうけ、病室へと案内された。
「母さん、来たよ」
「さくら…ごめんね、迷惑かけて…」
顔の向きを変えるのも辛そうだ。
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