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blossom
第2章 Love1:ハジメテの男
院長室の端にあるドアを開けると、直接駐車場に出られるようになっていた。

山根くんはサッとドアを開けて助手席にエスコートしてくれた。バタンとドアを閉めると密閉性が高まって、二人きりであることを改めて意識してしまう。

「シートベルト、ちょっとコツがいるんだ」
山根くんの身体が近づいて、また胸がドキッとする。男っぽい香水の香りが頭をぽーっとさせる。


「山根くん、相変わらず…」
[かっこいいね]と言いかけて、別の言葉を探す。
「…優しいね」

「宮野は、すごく…いい女になった」
「よく言うよ。子供二人産んで、あの頃より5キロ以上太ったもん。」
「だからかな、大人っぽくなった。色っぽくなったって言うのかな。」


お店のそばのコインパーキングに着いて、車をバックさせるとき、助手席に腕を回して後ろを見ている山根くんの顔に見とれてしまった。
サッカー部の試合のとき、集中してる少し厳しい表情でバックスに振り向いてた山根くんは、本当にかっこよかった…。

「宮野、着いたよ」
うっかり目がハートになりかけて、我に返る。

「そうだ、みんなを驚かしてやろう」
山根くんの陰に隠れるように言われて、その背中に寄り添う。大人の男の大きな背中…当時より更に背が伸びたんだな…。
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