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第15章 　ホリデー

　ベランダで、洗濯物を干す優夏。
　風がとても気持ちいい日である。
　優夏は、洗濯物を干し終えると、遠くを眺めていた。

　優夏の住むアパートは高台にあり、街を見渡せる立地にあった。
　今の会社から通勤するには、少し不便な郊外。
　だが、電車は乗り換えなし。
　家賃も安く、何よりこの景色が気にいっている。

　しばらく優夏は、手すりに腕を乗せ、街を眺めていた。
　すると、隣の部屋の窓が開く音が聞こえてきた。
♪ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ...
「えっ！？」
　驚く優夏。
　そしてすぐに、隣のベランダに、人の影が現れた。
　現れたのは、20代半ばぐらいの若い男。
「あっ！！」
　その男も、優夏の姿を見て、驚いていた。
「あっ！どっ、どうも...」
　驚きつつ、挨拶をする優夏。
「ああ、どうも。いや、初めまして」
「こっ、こちらこそ、初めまして…」
　ベランダで交わされる、初めましての挨拶。
「後で、ご挨拶に伺いますので...」
　そう言って男は、部屋の中に戻っていった。

　隣のベランダを覗く優夏。
　大量の、折り畳んだダンボール箱がおかれていた。
　”引越して来たんだ…”
　“でも…いつ？…”
　優夏は不安を感じながら、部屋の中に入った。