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好きと依存は紙一重
第5章 好きと依存は紙一重
「げほっ……この際、水道水でもいい……」
 掠れた声で言うと、お姫様抱っこをされる。未亜は大人しく連の首に腕を回した。そのまま台所に運ばれ、未亜を抱えて両手が塞がっている連の代わりに、未亜が電気をつける。椅子に座らされ、服を着せてもらっていたことに初めて気づいた。
 連は食器棚からふたつのグラスを出すとテーブルの上に置き、冷蔵庫から緑茶のペットボトルを出して注いでくれた。未亜は半分近くを一気に飲み干し、喉を潤す。

 喉の違和感がなくなると今度は空腹に気づき、ピロートークも無かった上に、起きて早々空腹という色気のカケラもない現実に、嫌気が差す。
「おなか空いてまへんか? 実はうち、まだ夕餉を食べてへんかったさかい、おなかが空いてもうて」
 おなかをさすりながら言う連に、未亜は吹き出す。
「実はアタシも。一応少し食べたけど、おなか空いちゃった。両想いになったのに、なんかロマンスのカケラもないね。せめてピロートークくらいしたかったけど、アタシが気失っちゃったし」
「ええんちゃいますか? 映画の様な恋をする必要もあらへんやろう? うちは未亜がおってくれるだけでも充分幸せどすえ? ロマンスをお望みなら、デートプラン考えておきますけど」
 自分達が夜景の見えるレストランで食事しているのを思い浮かべ、声を出して笑う。

「いいよいいよ、似合わないもん。堅苦しいの好きじゃないし」
「堅苦しいって、何想像したんどすか……。そやけど、京都に行く時は大人しゅうもてなされとくれやっしゃ。とっときの店に案内するさかい」
「帰っちゃうの……?」
 連はもう二度と京都に行かないと思いこんでいた未亜は、地名が出てきて愕然とする。できればもう、連の口から京都という地名は聞きたくなかった。
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