この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
好きと依存は紙一重
第2章 jester
 2年後、未亜はPCカバンを片手にこじんまりした雑居ビルの1階に入ろろうとドアノブを傾ける。だが鍵がかかっているらしく、ドアノブはビクともしない。猫のシルエットが入った腕時計を見ると、12時半過ぎ。
「フロイデにいるのかな?」
 未亜は向かいにある2階建ての建物に目を向ける。1階はフロイデというカフェになっており、よく皆で利用している。

「できればミーティングとかしたかったんだけど……」
 PCカバンに触れながら、そっとため息をつく。
 1年半前のこと、連はjesterという演劇団を設立し、未亜を専属の脚本家として雇った。これが彼なりの未亜への恩返しらしい。最初は荷が重いと思ったが、小さな演劇団は意外と居心地が良い。何より、フロイデがすぐそこにあるという安心感がある。

 カフェフロイデのオーナーである渡辺日向《ひゅうが》という男には、未亜も連も世話になっている。日向とは中学生の頃からSNSで知り合い、未亜の家庭が荒んでいることを知った日向は、「必要最低限のものさえ持ってくれば、住めるように手続きをしてやる」と言って、未亜の住居を探す手伝いや、市役所での手続きなどを手伝ってくれた。ちなみに連が東京の住民になる手続きを手伝ったのも、格安なこの雑居ビルを教えてくれたのも彼である。
 しばらくアパートに住んでいた連だが、雑居ビルの1階と2階を借り、1階を練習場に、2階を生活拠点にしている。

「おなか空いてるし、いいか」
 未亜は開き直ると、雑居ビルから出てフロイデへ行く。中に入ると小さなカフェは、jesterの団員でいっぱいになっていた。カウンター席に見慣れたハーフアップの金髪を見つけると、その隣に座る。
「ここにいたんだね」
「おや、先生。今日はバイトがあるさかい来いひん思てました」
 連は青いサングラスを外すと、目を細めながら言う。未亜の提案で髪を少し伸ばして脱色し、外出時は青いサングラスをするようになった。不良に変装させるのはあまりにもテンプレすぎると思ったが、おかげでここ2年、彼が大槻連であることは気付かれていない。
/129ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ