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好きと依存は紙一重
第2章 jester
真理亜と区別がつくように、高飛車な性格から、マリー・アントワネットというあだ名がついており、仲間は彼女のことをマリーと呼ぶ。
(毎度のことながら、景観の意味分かってる?)
マリーの言葉に苦笑していると、店内に団員以外の客がいるのを見つける。裏路地のようなこのカフェに来るのは、よっぽどの珈琲マニアがほとんどで、団員以外の客を見かけるのは珍しい。
その客は全身黒ずくめで、黒いニット帽まで被った男だ。背はそれほど高くなく、背中を丸めているせいか、小太りに見える。
(珈琲を楽しみに来たって感じじゃないな……)
不審に思っていると男がこちらを向き、未亜と目が合うとニヤリを笑った。嫌悪感のあまり前を向くと、ちょうどミックスサンドとキャラメルラテが置かれた。
「子猫ちゃんのために、ちょっと遊んでみたよ」
ミックスサンドを指差しながら言う日向に、どんなイタズラをしたんだと警戒しながら目線を落とすと、白い食パンに猫のキャラクターがウインクしている焼印がしてある。
「うわぁ、可愛い!」
ペンネームにするほど猫好きの美亜は、目を輝かせながら写真を撮る。連が嫉妬深い目で見ているのに気づかず、タグ付けをしてSNSに写真を投稿すると、ミックスサンドにかじりつく。
「あぁ、なんてじれったいの……。あれだけ素晴らしい恋物語をお書きになる先生が、隣にいる殿方の嫉妬に気づかないなんて」
未亜達の後ろのテーブル席では、マリーがやきもきしながらふたりを見守っている。その隣に座っているjester最年長女優の茜は、微笑ましそうにマリーと彼女の視線の先を見つめ、ふたりの向かいに座っている高身長の青年、心太は、心底どうでもいいとでも言うように、大きなため息をついた。
「団長様、絶対に先生のことを好いていらっしゃるわ。こちらにこんなに伝わっているというのに、気づいていない先生……。見ていてじれったくなりますが、とても素敵……」
「あら、シャム猫先生、さすがに気づいてるんじゃない? あえて気づいてないフリをしているだけで」
茜の発言に、なんとしてもふたりにくっついて欲しいマリーは目を見張る。
(毎度のことながら、景観の意味分かってる?)
マリーの言葉に苦笑していると、店内に団員以外の客がいるのを見つける。裏路地のようなこのカフェに来るのは、よっぽどの珈琲マニアがほとんどで、団員以外の客を見かけるのは珍しい。
その客は全身黒ずくめで、黒いニット帽まで被った男だ。背はそれほど高くなく、背中を丸めているせいか、小太りに見える。
(珈琲を楽しみに来たって感じじゃないな……)
不審に思っていると男がこちらを向き、未亜と目が合うとニヤリを笑った。嫌悪感のあまり前を向くと、ちょうどミックスサンドとキャラメルラテが置かれた。
「子猫ちゃんのために、ちょっと遊んでみたよ」
ミックスサンドを指差しながら言う日向に、どんなイタズラをしたんだと警戒しながら目線を落とすと、白い食パンに猫のキャラクターがウインクしている焼印がしてある。
「うわぁ、可愛い!」
ペンネームにするほど猫好きの美亜は、目を輝かせながら写真を撮る。連が嫉妬深い目で見ているのに気づかず、タグ付けをしてSNSに写真を投稿すると、ミックスサンドにかじりつく。
「あぁ、なんてじれったいの……。あれだけ素晴らしい恋物語をお書きになる先生が、隣にいる殿方の嫉妬に気づかないなんて」
未亜達の後ろのテーブル席では、マリーがやきもきしながらふたりを見守っている。その隣に座っているjester最年長女優の茜は、微笑ましそうにマリーと彼女の視線の先を見つめ、ふたりの向かいに座っている高身長の青年、心太は、心底どうでもいいとでも言うように、大きなため息をついた。
「団長様、絶対に先生のことを好いていらっしゃるわ。こちらにこんなに伝わっているというのに、気づいていない先生……。見ていてじれったくなりますが、とても素敵……」
「あら、シャム猫先生、さすがに気づいてるんじゃない? あえて気づいてないフリをしているだけで」
茜の発言に、なんとしてもふたりにくっついて欲しいマリーは目を見張る。