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第16章 タイミングの悪い誘い

広美と太田がセックスをしてから、ちょうど一週間が経った木曜日。
広美は仕事を終え、家に帰宅していた。

広美は当初、電車内での太田の痴漢行為を思いだし、太田が会社などでセクハラをしてくるのではと不安に感じていた。
しかしながら、太田はまったくあの日の事に触れることはなかった。

たまに会社ですれ違っても以前のように普通に接してくる。
約束は守ってくれるようだなと広美は安心した。

しかし広美はというと、やはり太田とのセックスに後ろめたさを感じ、健治と逢っても、何かと理由をつけて誘いを断ってしまう日々が続いていた。

(はぁ…、このままじゃ、健治さんに嫌われちゃうよ)
(自分が悪いのは分かってるけど、健治さんと前みたいに楽しく話したいよぉ)

健治の事を思い、広美は家で悲しくなっていた。
そんな時に広美の携帯にメールが受信した。
広美は健治からのメールや電話の着信音を個別に設定していたため、その音で健治からのメールだとわかった。

(あっ、健治さんからメールだ、なんだろう)