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不埒に淫らで背徳な恋
第1章 【心の歪み、気付いてる?】
「畠中チーフ、再来月発売のセル1dayプラスのサンプル届きました」
「ありがとう、そこ置いといて」
セル1dayプラスとは、大人気のカラコンで再来月に出る新色のアプリコットブラウンのこと。
某有名モデルのプロデュースともあり出すもの出すもの飛ぶ勢いで売れるコスメの1つだ。
化粧品メーカーと言っても極小規模でコンビニで展開する美容コスメやカラコン、シャンプートリートメント等を扱っている。
その中で私は開発担当兼営業も担当。
入社して5年目の管理職。
「畠中チーフ、そろそろ…」
「あ、そうだね、行こう」
慌てて用意して午前中にアポを取り付けてある美容室へ後輩女性社員と共に出向く。
「前まで使ってたやつより艶々になりますね」
美容成分を20%アップしてあるのと何よりの売りが今回のコンセプトだもん……
「はい、それプラス保湿の方も前回より配合させていただいてますので手荒れも多少軽減出来るかと思われます」
「うわ、それは助かる」
だからお願い、うちで決めてください…!
得意のキラースマイルでトドメ……
出来たはず。
「じゃあ、これでお願いします。とりあえず200本発注で」
よしっ…!契約更新いただきました…!
「ありがとうございます…!すぐ手配させていただきます」
お陰さまで仕事の方は順調だ。
新規も契約更新も私は社内で群を抜いて成績優秀である。
同期も居ないため新入社員にはお局様と思われているだろうが一応、3年前に結婚している。
「で、いつ俺と食事行ってくれるんですか?」
「えっと……それは」
新規の頃から大量発注してくれるなかなかの取引先だけど初対面からグイグイ来る人。
愛想笑いで誤魔化すのも苦しくなってきたか。
後輩ちゃんもすぐ傍に居るのな。
結婚してるので…と言おうとした左手を持ち上げられた。
「これも、単なる男除けですよね?」
薬指に光るエンゲージリング。
まさかそう思われているとは。
「あの、本物です……結婚してます」
「えっ!?」
すかさず納期を後輩ちゃんに聞く。
「それでは今月末には納品させていただきます」