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不埒に淫らで背徳な恋
第5章 【贖罪することが救いなのでしょうか?】




「気付かれたんですか?」




「それはないと思うけど……念の為ね」




「わかりました」




「じゃ、私こっちだから」




「え、そっちですか?」




「実家から出社してるの」




「わかりました、お気をつけて」




「お疲れ様」




多くを語らなくても理解してくれたようだ。
そういうところも私的には助かっている。




「畠中チーフ…!」




後ろから呼び止められただけで胸が踊る。
大好きな声……駆け寄る足音。
ゆっくり振り返るだけで精一杯なのに。
その顔を見たらもう……




「ここから近いんですか?実家…」




「え?あ……ここから1時間弱よ」




「気をつけてください…」




「ありがとう」




「あの、寝る前でいいので連絡していいですか?」




返事はしないで微笑み背を向けた。
こんなこと初めてだ。
おあずけしちゃったから声だけでも聴きたいって…?
ダメ……可愛過ぎる。
顔に出ちゃいそうでヤバい。





実家でお風呂あがり、缶チューハイ飲みながら仕事のメールチェック。
鬼ほど来ていた稜ちゃんからのメールは一応既読つけて一言二言返しておいた。
戻らない、おやすみとだけ。






実家で声を聴く佐野くんは少し緊張しているように思えた。
喧嘩して実家に帰ってる……とだけ伝えて限られた二人だけの時間を楽しむ。




__ねぇ、顔見たい




そう言ってビデオ通話にした。




きっとそうなるだろうとナチュラルメイクはしておいて正解だったかも。
声だけなんて……私が我慢出来ない。




__あ、何か飲んでます?




__うん




缶チューハイを映してみる。




__可愛いです




本当、照れずにサラッと言えちゃうのね。
僕も…と缶を開けてる姿も愛おしい。
画面越しに乾杯してお互いに飲む。




__何か、お家での瑠香さんはチーフっぽくなくて新鮮ですね




__そりゃオフってるでしょ、家ではこんな感じよ?いつも




__周りにご家族居ますか?




急に気にしだして小声になってる。
誰も居ないよ?両親は1階で寝てるし、ここは私が使ってた部屋だから。












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