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不埒に淫らで背徳な恋
第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】

「忘れて……ください」なんて都合良過ぎるかな。
身勝手で失礼極まりない。
自分から煽ろうとしたんだもん、私。
現実と夢の間で訳わかんなくなっちゃった……自業自得だ。
「快くんって誰ですか?」
「えっ…!?」
私、やっぱり声に出してた。
えっ!?快くんって呼んでたの?
うわ、どうしよう。
これはいくら何でも説明出来ない。
私のバカ…!バカバカ…!!
「あ………えっと」
上手く誤魔化すセリフが思い浮かばない。
かなり動揺してる。
「そんなこと言ってた?誰のことだろうね」とか棒読みじゃん。
終わった………
「その快くんって人のことが好きなんですね、夢に出てくるほどだから」
「いや……その、違う……えっと」
「もしかして、瑠香さん……なんて呼ばれてましたか?」
「えっ!?何で!?」
「やっぱり……てことは年下かな?僕が試しでそう呼んだら凄く反応したんで」
な、ななな…!?
試しでってそんなことする!?
「一度そう呼びたかっただけです、勝手なことしてすみません」
「そんな……」
律儀に、姿勢良く再び頭を下げて謝罪してくれた月島くんに何も言い返せない。
「そんな人が居るなんて知らなかったから休日デートとか言っちゃって迷惑でしたね」
「あ、いや……」
まだ頭がパニックだから次から次へと返答に困る。
もし何らかの形でバレてしまえばそれこそ命とりになるのかな。
同じ会社だもん、佐野くんを知るのは時間の問題かも。
もう関係ないんだってはっきりさせとくべき…?
「あの、何ていうかお恥ずかしいことなんだけど……もうその人とは終わってる」
「えっ!?」
次は月島くんの方が素っ頓狂な声を出した。
「終わった恋なの」
だからもうこれ以上聞かないで…とばかりに強がって微笑んでみせた。
「戸締まりするから」と席を立つ。
休憩ルームを出ようとしたその時。
私の心臓は本気で止まるんじゃないかと思うほど強く高鳴った。
勢いよく背後から抱き締められて動けない。
耳元にかかる月島くんの吐息が身体を一気に熱くする。

