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不埒に淫らで背徳な恋
第7章 【愛欲に溺れるのは不修多羅ですか?】

「でも考えといてくださいね?僕のこと」
退かない顔と至近距離で目が合う。
言われてばっかじゃ収まりつかないから言ってやった。
「考えとくよ、どう交わそうかなってね」
「うわ、そのうち交わせなくさせます」
その自信満々なとこも似ないでよ、ムカつく。
一歩…ニ歩と逆に追いつめてやる。
後ずさりする月島くんの胸をツンツンしながら壁際まで。
「ねぇ、さっきから上司のことからかい過ぎじゃない?あんなキスで熱くなっちゃった?」
ダークな私も見せておこうか。
開き直ってしまえばこっちのものだ。
動揺してるって思われたらこんなふうに立場が逆転してしまう。
上司ってワードを出して現実を叩きつけてやらなければ。
案の定たじろいでいる。
ネクタイ掴んで近くまで引き寄せたらびっくりして声も出ないでしょ。
「月島くんのキスは、ちょっと違うかな……だからもう次はないな」
フッと悪戯に笑い身体から離れる。
呆然とした月島くんを残し先に退社した。
ちゃんと伝わっていれば本望です。
わからなければ言葉で伝えるしかない。
濁すことは相手にも失礼なんだって心得ている。
なのに……月島くんとキスしちゃった。
しかも会社で。
佐野くんの時と一緒だけど決定的な違いは明らかだ。
私はこれからも一生、あれほど熱くなるキスは出来ないのかも。
身体の中心から疼く溶けるようなキス。
触れた瞬間、身体が拒否した。
だからきっと、これが自分に課した罰。
乗り越えようとするたびにこの問題に直面して強張らせる。
そう、驚くほどに私たちは相性が良かった。
磁石のように惹かれ合った。
時間が経っても消えることはない。
この身体に残り続ける。
ねぇ、快くん………
代償ってそういうことなんだよね………

