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不埒に淫らで背徳な恋
第9章 【無い物ねだりの先には報復だけでしょうか?】





え………夢、だったの?




抱いてと縋ったのも触れた唇も体温も……夢!?
身体を起こすとまだ少し頭が痛い。
下着を着けていないことにハッとした。




ノーブラで寝ることはまずないので体調が悪かったとはいえ可怪しい。
濡れた頬を手で拭う。
昨日開けれなかったペットボトルの蓋も開けてあったし量も減ってる。




脱ぎ捨てたはずの服もハンガーに掛けられていて部屋も散らかってない。
普段もそこまで汚部屋ではないが昨日は割と散らかっていた方。
それが綺麗に整頓されている。




明らかに自分一人で出来たものじゃない。




ふと、テーブルの上にメモ書きがあるのに気付いた。
重い身体を持ち上げ手に取る。
まだ体調が万全じゃないのにも関わらず血の気が引いた。




達筆な文字で書かれていたのは春樹さんの字だ。




“おはよう、かな?心配で様子を見にきたけど結局無理をさせてしまったようだ、ごめん。汗をかいていたので着替えさせました。無理しないで今日も安静に!仕事終わったら連絡する。鍵はポストに入れておきます。春樹”




力なくその場に座り込んだ。





意識は朦朧としてたものの所々はっきり覚えている。
あれは……夢なんかじゃない。
リアル過ぎる。




唇に触れてみる。




確かに……キスしたはず。
嗚呼……風邪ひいてるのに……移したかも。
少しずつ思い出して自己嫌悪に陥る。
同時にハッとした。




どこから……!?
どこから勘違いしてたの……!?




私っ……!
春樹さんを佐野くんだと思い込んでた。
ドアを開けて……春樹さんだと認識してたのに……




頭を抱え、前髪をクシャッと握る。




ベットに移された時にはもう佐野くんに見えた。
瑠香さん…って言われた気がしたのも空耳!?
幻聴…!?相当イカれてる。




これほど自分に幻滅した覚えはない。
夢でなければ、おそらく私は朦朧としながら春樹さんに「快くん」と呼びセックスしようとした。
最低だ。




春樹さんを快くんだと思い込んで抱いて…と。
どこまでクズなの?
一番卑劣なやり方で傷付けた。










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