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不埒に淫らで背徳な恋
第10章 【不埒に淫らで背徳な愛なら許されるのでしょうか?】





襟を立たせてネクタイを通す。
目の前で結びキュッと締めた。




「私、嘘つきなの」




「え…?」




驚くだろうな………驚くよね。
本当、自分が弱過ぎて情けなくなる。
流されまくりだよね。




ジャケットに腕を通させ前ボタンを留めたら重い口を開け真実を告げなければならない。




「離婚はした。それからしばらくは誰とも…だったんだけど最近になって付き合った人が居る」




俯いて口を閉ざしてしまった彼に私は更に追い打ちをかけてしまうのか。




「快くんも知ってる人」




「えっ…?」




「ホワイトデザインの小山社長」




名前を出したら目を閉じて頭を抱えてしまった。




「軽蔑する…?今は結婚を前提に付き合ってるの」




「え…?」




終わった……よね。
なのに何でセックスしたのって思ってる…?





したかったから。




それだけ。




最低だ。




どうしようもない痴女だね、私。
優しくされてフラフラして、性欲に負けてセックスに溺れて。
心の底からイケるのは快くんだけだってどの面下げて言ってんの…?




「久しぶりで気持ち良かった……じゃあね」




最後のセリフはいつも哀しい。




前髪で潤んだ目を隠してそのまま去ろうと思ったのに。
ドアは押さえられて開けれない。
ノブに掛けた手は後ろから握り締められ簡単にサヨナラはさせてもらえなかった。




「待ってます……まだ待てますから」




耳元でそんなこと言わないで。




「瑠香さんはあの人とじゃ本当の幸せにはなれない……瑠香さんを幸せに出来るのは僕だけだ」




ハッとした。
自分でもわかってた事を改めて突き付けられた気分。





握られた手は後ろに引かれ向かい合うように身体を反転させられた。




顔……見られたくないのに顎クイされて今にも零れ落ちてしまいそう。
泣いてるなんてバレたら振り回してしまうだけなのに。
どうして私はこうも搔き乱すのか。




ドン…!と押し返した。
思いきり目を瞑ったから頬を伝う。
悟られないよう顔を背ける。





「勘違いしないで……快くんとは相性が良かっただけ」




「セフレ……ってことですか?」




「そう……」












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