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不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】




「電話切って、もし向かってくれてたらもうすぐ着くはずだって…あと10分…あと10分…って納得いくまで粘ってました」




「何で来るって思ったの…?」




たった少し流したアルコールなんかで酔うはずがない。
なのにそうじゃないかと勘違いしてしまうほど真っすぐな彼の瞳に喉の奥からカーッと熱くなっていく。




試すような言い方して……
その答え次第で何かが変わる気がした。




立ち上がる彼から目が離せない。
そっと頬に添えられた手。
親指が目の下をなぞる。




「だって泣いてましたよね…?声押し殺して。気にならないわけないじゃないですか……でも僕からは行けないんで、また賭けてました」




机の上に置いた缶ビール。
酔ったフリにはまだ早過ぎる。
でももう揺らいで仕方ない。




「来なければまだ僕の一方通行なまま……」




そっとネクタイに手が伸びて引き寄せてしまう。
彼も持っていた缶ビールを置いた。




「もし来たなら……僕はもう取り返しのつかないほどチーフに大恋愛するんだって腹を括ろうとしました」





間違ってるってわかってる。
巻き込んじゃいけないことも理解している。




でもこの手が止まらない。
気持ちが追いつかない。
わざとその瞳に捕まりに行く。




「僕は最低です……チーフが一番弱い時に誘惑してる……こんなつもりじゃなかったのに止められないんです」




肩から頬に触れる手。
上から彼の手が重なって手のひらにキスしてきた。




もう無理かも知れない。




熱い視線にまた捕まって……さっきからずっと疼いてるの。




「好きです……チーフが欲しくてたまらないです……抑えるの、無理です」




思わず顔を近付けて寸止め。
あとわずか数ミリで唇が触れる距離。




「最低なのは私……私もどこかで賭けてた……帰っててもいいから佐野くんの居た空間に居たくなったの……顔見た瞬間、理性飛んだのは私…」




どっちがズルいとかもうどうでもいい。




最低だって非難を浴びても今この下した決断は私にとっては正解なの。














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