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不埒に淫らで背徳な恋
第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】
「先行って調べておきます」と目も合わさず資料室へ消えていく後ろ姿。
さっきのメール返信、再度目を通してから自分も席を立った。
本当はきっと助けに入って来てくれたんだって薄々気付いてる。
あれほど完璧にこなしてるんだから手を加えるとこなんてひとつもない。
安心して任せられるようにもなってきたし、もうとっくに研修期間終わってる。
ノックして入った資料室。
ここは、初めて佐野くんが私に想いをぶつけてきた思い出深い場所なんだけど……ドアを閉めた瞬間、手を引かれその場で押し倒され唇を奪われた。
一瞬過ぎて頭が追い付かない。
思わず身体を押して拒む。
「佐野くん…っ」
「しっ!」
人差し指で静かにするよう合図してきて声を抑えると再び唇を重ねてきた。
今度は激しい……受け止めるだけで精一杯だ。
両手で押して拒み続けるのにビクともしない。
こんな激しくて……荒々しいの初めて。
「ちょっ……ダメ…っ」
私の背中でドアを押さえてるから誰も入っては来れないけど、近過ぎて声は聞こえちゃうかも。
だから安易に声をあげれない。
押さえてる手にも重なる大きな手。
激しかったキスも徐々に優しく情熱的に変わる。
勤務中はダメだって言ったじゃない。
しかもまだ皆が各々作業している時間なのに……足元まできちゃうキスしないでよ。
やっと離れたのに額寄せ合って必死に冷静になろうとする姿が見えた。
「昔からあの人に口説かれてるって聞きました…」
やっぱりそうか………
顔が離れて見つめ合う。
ひと目でわかる……怒った顔。
「その気ないのに何で耳触らせてるんですか?」
嫉妬してくれるとか……ゾクゾクする。
あれは不可抗力で…って言い訳しても煽るだけなのかな。
だったら狂気じみた顔……もう少し見てたいかも。
「だからお仕置きです」と後頭部を持たれた。
逃げきれない…ってやつね。
怒ってるところ悪いけど、良い顔見せてもらったからもう満足なの。
何度も吸い付く舌を噛んだら痛いでしょ?
うぅ…と噛まれたままフリーズする彼も可愛くて仕方ないけどもうお終いね。