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不埒に淫らで背徳な恋
第4章 【許されぬ略奪でしょうか?】




安心させるのが上手くなってきている。
穏やかだけど心苦しい。
悟られないよう振る舞わなければならない。
休みの日も私は仮面をかぶり続ける。
自分が撒いた種だ。




結局最初に行った古着屋さんで服を買った。
お店を出たあたりで何気なく待っていた私は顔を上げた瞬間、硬直した。




ほんの少し離れた距離に立つ姿。
はっきりと見える。
私の目は捕らえて離さない。
向こうもびっくりした顔で見てる。
口の動きで読み取れた。




間違いなく今、瑠香さんって言った。




どうしてこんなところに居るの…!?
佐野くんの家から離れた場所なのに。
大型ショッピングセンターだから仕方ないか。




待って、来ないで…!
来ちゃダメ…!




思わず顔を背けた。
きっとそれだけで傷付けたはず。
でも今からもっと傷付ける。
私は……本当どうしようもない悪魔だ。




「瑠香お待たせ」と隣に立つ稜ちゃん。
少し待たせたからって頭ポンポンされて抱き寄せられる。
そしてそのまま腰に手を回され歩いて行くのだ。




平気で前を通る。
一切、佐野くんを見ない。
絶対に気付かれない為なの、わかって。




「瑠香、お昼何食べたい?どっか食べに行こうよ」




「うん、そうだね…」




この会話…絶対聞こえてる。
同じ指輪してるのも見て分かるだろう。
下を向いてる気がしたけど、もし振り返って見ていたら腰に回した稜ちゃんの手は左手だから。





痛いほど感じる背中への視線。
稜ちゃんに笑顔で話しながら心の中では(お願い……何もしないで)と願っていた。




初めて見せた結婚相手……旦那さん。
夫婦で居る時の私。




何の躊躇いもなくキミを切り捨てた。
偽りだらけの幸せを繋ぎ止めようとした。
目の前で幸せそうな顔をして、一番最低な私を見せた。




ごめんなさい………
ごめんなさい………
ごめんなさい………




キミを失うことなど考えられないくせに……




こんな状況での私は無力だ……










「やっぱりステーキじゃなくてうどんが良かった?」




「えっ?」




「遅めのお昼なのに全然進んでないから」




「あ、ううん……さっきのバナナジュースが効いてるのかも」












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