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第36章 葛巻の思惑

朝練の生徒がうろつく運動部ではなく、文化部のクラブ棟だった事が幸いしゲーム同好会の騒ぎは外部に漏れずに済んだ。

あの日、中松を追う美咲の後をつけた葛巻は、立ち聞きで大体の事情を把握して部室に入り、宅間と交渉した。


宅間や中松がどうなっても構わないが、警察沙汰はやはりマズイ。
暴力に関しては、レイプと相殺することでしぶしぶだが宅間も諦めた。
しかし、菜々美を完全に手中にするためしばらく放っておけという忠告は中々受け入れないので、代役として美咲を貸し出すことにした。


ただし、宅間には本番行為を禁止してある。

脇屋の一件で葛巻は美咲に対する自分の独占欲に初めて気づき、自分以外の男とセックスさせたくなかったからだ。

彼女には見栄を張り、誰と寝ても構わないなどと言ったが
どうしても許せなかった。

今回のレンタルは脇屋の脅しに簡単に屈した美咲へのお仕置きと、葛巻だけでなく宅間からもいつ呼び出されるか分からない状況に彼女を追い込み、三田から引き離す作戦でもあった。


さらに宅間にコピーさせた菜々美のビデオも含めると、葛巻にとっては一石二鳥どころか一石四鳥くらいの成果だった。


卓巳が暴走しなければ、この展開は有り得なかった。
そう考えると、葛巻の卓巳に対する感謝は尽きることがない。

(中松は俺のラッキーパーソンかもしれんな)

葛巻は半ば本気で思った。