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ブレインウォッシャー
第1章 掘り出し物
 「フリマで催眠術が出来る機械を購入。試してみてみることにする。」
 俺は宣言すると耳栓をせずにA釦を押す。極々微かにキーンという高周波が聞こえた気がしたがそれだけだ。何も起こらない。当然だ。何を期待しているのか。苦笑しながら録画を止めようとスマホに手を伸ばして違和感を感じる。おかしい。録画開始して、口上言って、A釦を押して、録画停止。この間どうのんびりやっても30秒と掛からないはずだ。なのにカウンターは1分近く録画していると示している。まさかな?撮った画を再生する。
「フリマで催眠術が出来る機械を購入。試してみてみることにする。」
 口上の後A釦を押すと・・・なんだこれは?俺の顔がだらしなく弛み目から精気が消えた。まるで痴呆に掛かったようだ。そのまま30秒程すぎると突然表情が甦り苦笑しながらスマホに手を伸ばす
 『耳栓をせずにA釦を押すと自身も催眠準備状態になる。』
 取説の一文が脳裏に浮かぶ。まさか本物なのか?突然心拍数が上がる。事の真偽は誰か他人を使って実験してみないと判らない。
 さてどうするか。なにしろ実験なので失敗しても俺にダメージの無い相手でなければならない。今後数十年けして遭うことのない赤の他人。催眠の内容も笑い話で済むレベルでなければならない。
 考えた結果ナンパしてみることにした。ナンパなら少々変な事言っても馬鹿じゃないの?と肘鉄砲を一つ食らう程度ですむ。
 自分で言うのも何だが俺は女受けは良い方だ。顔は2.3枚目というところか?身長177㎝体重63㎏。この顔この身体をくれた離婚して俺を放り捨てた両親に感謝だ。小綺麗な服装に着替え髪を整えるといざ出陣。目指すは七駅先にある大きな公園だ。この公園の傍には私立の女子高と女子短大が在る。公園は駅への抜け道になっていて時間によっては女子高生女子大生が選り取り見取りだ。日曜祝日になればナンパしたいされたい男女が互いに品定めしながらウロウロしている。
 時間は16時過ぎ。
 お茶に誘ってどこかで遊んでからアルコール有りの夕食。その後上手くいけばホテルにGO!と目論んでいる男達と食費と遊行費を払わすだけ払わせて「御馳走様、サヨウナラ」と姿を消す算段をしいる女達。狐と狸の巣窟に足を踏み入れる。おうおう、居る居る。俺は公園の中の小道をゆっくりと進む。誰にしようかな?天の神様のいう通り。
 
 
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