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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第8章 復讐から始まる恋は哀しく~かすみ草~【後編】
幼い王子は耐えられなかった。あの清らかな女が永遠に不名誉な汚名を着せられたままなど、許しがたい。廃妃となったユン氏の名誉を何とかして回復したければ、国王になるしかない。
廃主、廃妃の名誉を回復し、元の称号に復す権限を持つのは国王だけだから。
「だから、私は大きくなったら、必ず王になります」
最後にもう一度だけ、呼ばせて下さい。
「ー母上」
燕海君は小さな声で呼びかける。文机の向こうに座った淑媛の美しい面に、花のような微笑がひろがった。
控えの間には保母尚宮が待っていた。王子は血染めの手巾を握りしめたまま、乳母の腕に飛び込んで泣いた。
廃主、廃妃の名誉を回復し、元の称号に復す権限を持つのは国王だけだから。
「だから、私は大きくなったら、必ず王になります」
最後にもう一度だけ、呼ばせて下さい。
「ー母上」
燕海君は小さな声で呼びかける。文机の向こうに座った淑媛の美しい面に、花のような微笑がひろがった。
控えの間には保母尚宮が待っていた。王子は血染めの手巾を握りしめたまま、乳母の腕に飛び込んで泣いた。