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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第11章 悲歌
 彼は両手を背後で組み、空を仰いだ。八月もそろそろ半ばを過ぎようとしている空には、真綿をちぎったような雲が所々浮かんでいる。




 空の蒼と雲の白さの対比が眩しいほどだ。彼には、雲の白さが真冬に降る雪のようにも、母がこよなく愛したかすみ草が群れ咲く野原のようにも見えた。
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