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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第11章 悲歌
 もし自分に翼があれば、あの雲の向こう、ソファと共にどこまでも鳥のように飛んでゆくものを。



 空を見上げる彼の頬を、ゆっくりとひと筋の涙が流れ落ちていった。




 過ぎ逝く季節の終わりを告げるように、蝉の声がひときわ騒がしくなった。
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