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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第44章 【月の姫~王を導く娘~】(後編)
(本文から抜粋)
「私がこんな風に、触れられても良いと思える殿方は殿下だけです」
それが明華の今の精一杯だった。
ヨンの麗しい面に限りなく優しい微笑がひろがる。
「ありがとう。こんな堪え性がない男を信用してくれて。そなたの信頼を裏切らないように、私もそなたを一生涯かけて守ってゆくよ」
ヨンの唇が明華の額に、次いで感じやすい喉許に落ちる。彼に口づけられた箇所がほのかな熱を帯び、血流がドクドクと音を立てているのが判る。その音を彼に聞かれるのではないかと心配でさえあった。
ー彼の吐く熱い吐息が私の剥き出しになった素肌をくすぐり、私の身体の至る場所に彼によって点された小さな炎たちは、やがて大きな炎となって燃え上がる。
燃え盛る紅蓮の炎の向こうに、私は美しい風景を垣間見た。虹色に輝く無数の蝶たちが煌めきを放ちながら乱舞している。
たくさんの蝶たちは炎が消えた後もなお、光の粉をまき散らしながら飛び交っていたが、最後にまばゆい煌めきの欠片となって四方に飛び散り、見えなくなった。
彼の顔が近づく。眼を瞑った私の唇を厚くしっとりした唇が塞ぎ、貪るような口づけが続いた。絡み合う素肌と素肌、洩れる吐息、重なるまなざし。
彼の深い夜色の瞳の底に、私は自分の中にあるものと同じ感情を確かに見た。それは、揺らぐことのない愛情と信頼、二度と離れないという強い想い。
「二度と離さない」
私を幾度も抱きながら、彼は熱に浮かされたように呟く。私の裸の背中に回った彼の腕には、骨も軋むくらいの強い力が込められていた。私も彼に負けないくらい強い力で細い腕を回して抱きしめ返し、彼の耳許で囁いた。
「二度と離れない」
その夜、私たちは最も深い部分で一つに溶け合った。
「私がこんな風に、触れられても良いと思える殿方は殿下だけです」
それが明華の今の精一杯だった。
ヨンの麗しい面に限りなく優しい微笑がひろがる。
「ありがとう。こんな堪え性がない男を信用してくれて。そなたの信頼を裏切らないように、私もそなたを一生涯かけて守ってゆくよ」
ヨンの唇が明華の額に、次いで感じやすい喉許に落ちる。彼に口づけられた箇所がほのかな熱を帯び、血流がドクドクと音を立てているのが判る。その音を彼に聞かれるのではないかと心配でさえあった。
ー彼の吐く熱い吐息が私の剥き出しになった素肌をくすぐり、私の身体の至る場所に彼によって点された小さな炎たちは、やがて大きな炎となって燃え上がる。
燃え盛る紅蓮の炎の向こうに、私は美しい風景を垣間見た。虹色に輝く無数の蝶たちが煌めきを放ちながら乱舞している。
たくさんの蝶たちは炎が消えた後もなお、光の粉をまき散らしながら飛び交っていたが、最後にまばゆい煌めきの欠片となって四方に飛び散り、見えなくなった。
彼の顔が近づく。眼を瞑った私の唇を厚くしっとりした唇が塞ぎ、貪るような口づけが続いた。絡み合う素肌と素肌、洩れる吐息、重なるまなざし。
彼の深い夜色の瞳の底に、私は自分の中にあるものと同じ感情を確かに見た。それは、揺らぐことのない愛情と信頼、二度と離れないという強い想い。
「二度と離さない」
私を幾度も抱きながら、彼は熱に浮かされたように呟く。私の裸の背中に回った彼の腕には、骨も軋むくらいの強い力が込められていた。私も彼に負けないくらい強い力で細い腕を回して抱きしめ返し、彼の耳許で囁いた。
「二度と離れない」
その夜、私たちは最も深い部分で一つに溶け合った。