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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第6章 新月
 提調尚宮は六十過ぎである。老齢の女官長は普段、不寝番を務めることはまずない。もっとも、王が妃と夜を過ごすことは絶えて久しい。




 正しくいえば、十三年前、王妃が亡くなって以来、王が後宮の女人を寝所に召した夜は片手で数えられるほどだ。しかも、そのいずれもが大妃殿から寄越された大妃肝煎りの女たちばかりである。
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