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† 姫と剣 †
第7章 決意
「っ……ご、ごめんなさい…っ。こんなことで私っ…」
「姫────…」
優しく囁いたリューイはルシアの涙を拭う。
揺れる瞳。
「もう……大丈夫です」
強く手を握り返したリューイはその胸の奥で思いを燃やす。
「自分は強いって……そう思っていたのに…っ」
「…………………」
「突然ああいうことが起こると…怖くて体が動かなくなるものなのね…」
自分の身は自分で守るべく、ルシアはこれまで鍛錬を積んできた。
にも関わらず、成人の儀を迎えてからというもの、その成果を出せていないどころか、リューイの迷惑ばかりかけている。
ルシアはそれがどうしても自分で許せなかった。
「結局…っ……あなたに守ってもらってばかり…」
「それでいいのです。私はあなたを守るために存在しているのですから」
涙越しに絡まる視線。
まだ震えが止まらないルシアの肩を掴んだリューイ。
それだけで安心感が広がって、堪らなくなったルシアは思わずに飛びつくようにして、目の前のリューイに抱きついた。
「っ………リューイっ…」
鼻を啜りながら、流れる涙を止めることが出来ない。
うまくいかないこと、分からないこと、そんなことばかりが今ルシアの周りに溢れ返っている。
リューイはまた、そんなルシアを抱きしめ返してよいものなのか分からず、腕の行き場を失っていた。