この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第7章 決意
しばらくして少し落ち着いたルシアは、ゆっくりとリューイから体を離し、腕を掴んだままリューイを見上げた。
涙に濡れた瞼。
その艶めきにリューイの心拍数が上がる。
「リューイ……お願い。教えて」
「…………何をですか」
「私とあなたは……昔出会っていたの…?」
突然の質問に、リューイの瞳が少し揺れる。
そして、また目を逸らそうとするのをルシアは追った。
「なぜっ……なぜ隠すの……?」
依然として口を割らないリューイを、ルシアはじっと見つめる。
「丘の上……突然雨が降り出して、あなたに連れられてあなたの家に行ったあの日」
「………………」
「あなたは……幼い時にある約束をしたって…そう言ってたわよね」
当時の暖炉前のリューイの姿を、ルシアは鮮明に思い出せる。
先がないと分かっていながらも、胸が鳴り止まなかったあの日……────
そして、誰との約束なのか、と疑問に思い、それを問うた。
「深い緑の瞳に金色の髪………『私に似た少女だった』って」
もちろんリューイはあの時、ルシアがまさかローハーグの姫だとは思ってもみなかっただろう。
───────── その約束を果たすため…俺はもうすぐここを発つ
───────── リューイ……発つって…どこに…
───────── 『遠いところだ』
当時のリューイの言葉に、胸が締め付けられたのを思い出す。
でも……
「数日後、成人の儀にて護衛の騎士として現れたのは……あなただった」