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† 姫と剣 †
第8章 刺客
1週間使用した部屋の扉を開く。
ようやくの帰国の日。
ルシアは少しだけ安心していた。
「おはようございます、姫」
「っ…おっ、おはようございます…ロイ王子」
すかさず現れたロイに、ルシアは後ずさる。
思い出される昨夜の時間。
淫らに荒れて、挙げ句気を失ってしまったことに、ルシアはかぁーっと顔を紅らめながら、視線を外す。
それをみたロイは、緩く笑って片手でルシアを抱き寄せた。
「お体、大丈夫ですか…?」
「はい…っ」
「あまりにあなたが可愛かったので…少し無理をさせてしまいました。申し訳ない」
耳元で囁かれて、ルシアはビクりと体を震わせながら、首を横に振る。
「大丈夫ですっ……」
照れた表情に、ロイはトクンと自分の胸がなったのを感じながら、切なく微笑んで顔を近付ける。
「本当に……帰したくないです」
「……ん──────」
扉に追いやったロイはルシアの顎を掴むと人目を憚らず唇を塞ぐ。
その光景に、マヤとアマンダが目をまん丸くしていた。
「お見送りいたしますよ」
「っ……ありがとうございます…」
名残惜しそうに唇を離したロイは、ルシアの手を引く。
しばしの別れ。
一時ルシアが帰国している間に、ロイも準備を整えて、正式に婚約を交わす算段となっている。