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† 姫と剣 †
第12章 恋慕
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ひたすらに花冠を作っている少女の手元を覗き込む。
亜麻色の髪に、明るい茶色い瞳。
わぁーと声を上げると、ルシアはその少年にそれを被せた。
「似合うね、リューイ!」
金色の髪に、深い緑の瞳。
ルシアの言葉に、ムスッとしたリューイ少年は、頭に乗せられた花冠をすかさず外してルシアの頭に乗せた。
「僕は男なんだから……」
ムキになるリューイに、ルシアはふふふと笑う。
そんなルシアにつられて、ふっと笑ったリューイは、ルシアの頭に上に乗せた花冠をじっと見つめた。
「上手だね」
「うん、この前お母様に教えてもらったの」
「そうなんだ」
お母様、という言葉に、ハッとしたリューイが「ルシア!」と名前を呼んだその時。
「リューイ! ルシア様を呼び捨てにするでないと何度言えば分かる!」
「イタッ…」
突然、頭に下された拳に、リューイは涙目になりながら顔を上げる。
「まったく…!」
呆れ顔の父の姿に、リューイは顔を歪ますと、ふふふと笑い声が聞こえた。
「いいじゃない、アース。まだ2人は幼いのだし」
赤子を抱きながら、優しく微笑む女性は、ルシアと同じ金色の髪を靡かせながら、深緑の瞳をリューイに向けた。