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† 姫と剣 †
第12章 恋慕
「エステル様……ですが」
困った様子のリューイの父、アース=ランドルトに、ルシアが駆け寄る。
「私、大きくなったら、リューイと結婚するんです。ですから、呼び捨てでもなんでもいいの」
ペラペラと話すルシアの隣でリューイはギョッとしながら目を見開く。
「ちょっとっ……ルシアっ…!」
「なぁに…? だめなの……?」
試すような、うるうるとした瞳。
顔を紅らめたリューイは、小さく俯いた。
「ぼ、僕は……ルシアを守る騎士になるんだから…。だから、結婚はできないよ…」
「…………どうして…? リューイは私のこと好きじゃないの…?」
戸惑うリューイの手をルシアは掴む。
そして「私は…」と言葉を続ける。
「あなたのことが好きよ、リューイ」
「───────……」
幼いながらに、リューイは胸を高鳴らせて頬を紅らめる。
「で、でも身分が…………」
「うーん……」
困ったルシアは首を傾げながら、母のことを見上げる。
「私とリューイは結婚できないの……?」
「そんなことないわよ? お母様もお父様も、みんなあなたの幸せを願っているんだから」
パァッと顔を明るくさせるルシアを見て、アースが咳払いをする。
「エステル様……そのようなこと、おっしゃってもよろしいんですか。ルシア様とリューイでは…やはり身分が…」
「ふふ、何がいけないの? だって本当のことよ? 幸せに身分は関係ないでしょ?」
その言葉を聞いたルシアは、困るリューイのことをギュッと抱きしめていた。