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† 姫と剣 †
第12章 恋慕




閉じたルシアの瞳から涙が流れるのを見ながら、リューイはハッと息を飲む。




魔女が生き絶えてから、数分後。



リューイの腕の中で、ルシアがゆっくりと目を開いた。





「姫っ……! 姫っ………!!」




目覚めたばかりで、ルシアは目いっぱいに涙を溜めながら、リューイにゆっくりと腕を伸ばす。




「…………うそつき…っ」




思いもよらぬ言葉に、リューイは眉を寄せる。


その間ルシアの涙は止めどない。



まるで今夢を見るかのように過去のことを思い出した。



優しかったお母様。



いつもそばにいてくれたリューイ。



そんなリューイが大好きだった幼い自分。



そして、唆してきた叔母─────…




「あの日……お花を摘みに森の奥へ行きたいと言ったのは……あなたではなく…私だわ……」



「……姫っ…………」



「そうやって……っ…私が自分を責めないようにあなたはっ……」




リューイは、この身以外も守ろうとしてくれていた。





「姫……記憶が……」




コクリと頷くルシアにリューイは、信じられないとばかりに目を見開く。


そしてルシアはそんなリューイの頬に触れながら微笑んだ。





「いつも私を……守ってくれてありがとう……」




2人だけの大切な思い出が



今再び2人の間で蘇る。




つられてリューイの頬に一筋の涙が伝う。




涙が滲む中、ルシアはリューイを引きつける。





「リューイ、好きよ」




涙で濡れたルシアの深緑の瞳と、リューイの明るい茶色の瞳が絡む。





「………ルシア……─────」




呼ばれ慣れた名。



過去を取り戻したルシアにとっては、今は呼び捨てで呼ばれる方が心地よい。




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