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† 姫と剣 †
第13章 姫と剣
岩の上に腰掛けながら、
たくさんの子どもたちに囲まれているリューイをルシアは遠目で眺める。
昔から、優しくて強かったリューイは街の人気者。
そして、そんなリューイにはよく子どもたちが群がる。
リューイは少し困った表情をしながらも、みんなに号令をかけて木剣を振り下ろしている。
うっとりとした表情を見せるルシアの服の裾を、近付いてきた女の子が引っ張った。
不思議に思ったルシアは、首を捻ると少しもじもじとした女の子に微笑む。
「……どうかしたの…?」
「私……ルシア様に教わりたい」
「え……?」
「シュッて動くのとか、そういうの、私も出来るようになりたい」
懸命な姿に、ルシアはふふっと笑う。
そして、脇に置いていた木剣を掴んで、その少女と向き合った。
「女は力では男に勝てないから……」
そう言って、すぅと息を吸ったルシアは、素早く地面を蹴るようにして横に身を移すと、そのまま木剣を横から振った。
一瞬の華麗な動きに見ていた少女は、わぁと声を上げながら目を輝かせる。
「隙をついて、脇を狙って、力を受け流す……。そしたら背後が空くからそのままスッと、ね」
ニコリと笑うルシアに、少女は頷くと自分も真似しようと動く練習をしている。
その様子を微笑ましく見ていると、遠くから「お姉さまーー!」と声が響いた。